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「あ! また白髪……」
最近、髪の毛に白いものがちらほら混じって気になるという方も多いのではないでしょうか。
「はぁ、また白髪が増えた…」
「何が原因で白髪になってしまったんだろう?」
と白髪を見ると憂鬱になったり不安を覚えたことはありませんか?
今回は、そんな白髪の原因やメカニズムを徹底解説します。白髪対策についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
元々髪の毛は白い?
髪の毛は、元々色がないと聞いたら、びっくりしますよね。
「だって、赤ちゃんの時に生えているのは黒い髪じゃない?」と思う人も多いはず。
ですが、赤ちゃんの時に生えている髪も、実はお腹の中ですでに成長したものです。
では、髪の色について、詳しく紐解いていきましょう。
髪の色はメラニンで決まる
髪の毛の色は、髪の組織内にある「メラニン色素」で決まります。
メラニン色素はお肌のシミなど、美容面で馴染み深い言葉ですよね。
実は髪の色も、髪を構成するタンパク質のひとつである「コルテックス」の中に含まれるメラニン色素の分量で決まります。
毛髪は、「メデュラ」「コルテックス」「キューティクル」という3種類の異なるタンパク質でできています。
輪切りにすると、ちょうど真ん中にメデュラがあり、メデュラを囲むようにコルテックス、外側にキューティクルの層があります。
メラニン色素は、主に髪の85〜90%を占める「コルテックス」に存在し、メラニン色素の分量が多いほど髪色も濃くなります。
そして白髪は、メラニンをほとんど含まない状態の髪の毛というわけです。
白髪の原因は?白髪になるメカニズム
では、今度は白髪ができるメカニズムについて、詳しく見てみましょう。
メラニンの元になる細胞「メラノサイト」
メラニンが髪の色を左右することは先述のとおりです。でも、メラニンは元々髪の中にあるわけではありません。
では、メラニンはどこにあり、どんなタイミングで髪の毛に入るのでしょうか。
毛髪は毛根から生えて来ますが、毛根は皮膚の内部で毛包という組織に包まれています。
毛包とは字の通り毛根を包んで守り、同時に毛髪やメラニン色素を作り出す場所でもあります。
毛包の下部には髪の毛の根っこがあり、この部分で新しい毛や、色の元になるメラニンが作られます。
メラニンは新しい毛が生まれる際に、毛髪に供給されます。それで、色のついた髪の毛が生えるのですね。
ですが、メラニンの元になる色素細胞(メラノサイト)は、根っこより毛穴近くの場所で作られています。
つまり、まずメラニンの元になる細胞が生まれ、それが根っこまで運ばれてメラニン色素ができます。メラニン色素は髪が生えるタイミングで注がれるというイメージです。
ちなみにメラノサイトが作られる「バルジ領域」と呼ばれる場所が発見されたのは、2002年。髪の色のしくみが解明されたのは、ほんのつい最近の出来事だったのですね。
人種によって異なる髪質と髪の色。金髪と黒髪の違いは?
ところで、日本人の髪の色は、黒か少し褐色がかった黒がほとんどです。でも、欧米人などはブロンドや赤毛の人もいますよね。
もし生まれながらにして金髪だったら、白髪になってもカッコいいのに! と思ったことがある人もいると思います。
では、なぜ人種によって髪の色が違うのでしょうか。
人種による髪の色の違いにもメラニン色素は関係しています。メラニン色素には、実は2つの種類があります。
・ユーメラニン(黒褐色系)
・フェオメラニン(黄赤色系)
2種類のうち、アジア人に多い黒色や黒褐色に多いのはユーメラニンです。
ユーメラニンはブロンドにも多いそうですが、ブロンドは成熟した色素が少なく、金色になるとのこと。
黒と金色ではほぼ対局の色のようですが、同じ色素から成っているとは驚きですね。
ちなみにフェオメラニンは、赤毛に多いそうです。
また、日本人と欧米人とでは、髪の太さも違うそうです。
大阪大学大学院教授・板見 智氏監修の『やさしくわかる! 毛髪医療最前線』
(朝日新聞出版・刊)によると、
“日本人の髪の太さは、平均約0.06mm。欧米人に比べ、およそ1.3倍の太さがあります。〜中略〜また、太さだけでなく形状も人種による違いがあり、一般にアジア人の髪は断面が真円に近い形であるのに対し、欧米人の髪の断面は楕円形をしています”
とのこと。髪の色だけでなく、断面の形も違うなんて、ちょっと驚きですね。
少しずつ白髪ができるしくみが分かってきたところで、いよいよ白髪の原因に迫ります。
白髪ができる原因は、メラニン不足
結論から言うと、メラニン不足が白髪ができる原因です。メラニンが不足する理由はさまざまですが、そのひとつにメラニンを生成するのに必要な栄養素である「チロシン」が不足することが挙げられます。
チロシンとは、アドレナリンやドーパミンの原料になるアミノ酸のことで、メラニン色素の原料でもあります。
メラニンはタンパク質によってコントロールされていて、チロシンはそのタンパク質を作るために必要なものです。
また、チロシンは脳や神経にも関係があり、うつなどの改善も期待できます。
更年期障害や生理前後などに起こるイライラや情緒不安なども、軽減できるという報告もあります。
白髪は黒髪に変化することはある? 一生白いまま?
では、いちど白髪になった髪の毛は、もう元のように黒くならないのでしょうか。
たとえば、チロシンを補給すればまた黒髪が蘇るなら、チロシンを摂取して白髪を改善したいですよね。
白い髪が黒くなる可能性はある!
東京医科歯科大学の西村栄美教授によれば、毛包内に色素幹細胞がまだ残っている場合は、一時的に働きが弱くなっているだけなので、一度白髪になってもまた黒髪が生えてくる可能性もあるとのこと。
白髪が黒髪になる可能性を秘めている成分として注目されているのが、メラニン色素の原料チロシンです。
チロシンが増えるとメラノサイトを活性化させ、健康な髪の栄養補給がうまくいくように、環境を整えてくれます。
つまり、チロシンを摂取すれば、メラニンが再び生成されることが期待できるかもしれません。
では、どんなものを食べれば、チロシンが摂れるのでしょうか。
メラニンを増やす食べ物
黒髪のもとであるメラニンを増やすには、チロシンが多く含まれる食品を積極的に摂取することをおすすめします。
チロシンを多く含む食べ物
チロシンを多く含む食べ物は、大豆製品や乳製品が代表的です。
・味噌
・納豆
・高野豆腐
・チーズ(ナチュラルチーズ)
・脱脂粉乳(スキムミルク)
・ピーナッツ
・鰹節
・しらす干し
・海苔
など
ただし、チロシンをたくさん摂取しても、メラノサイトの働きが鈍ければあまり意味がありません。
次は、メラノサイトを活性化させる栄養素や食べ物をご紹介します。
メラノサイトを活性化させる栄養素
メラノサイトを活性化させる栄養素としては、ビタミンB6と葉酸があげられます。
ビタミンB6は、以下の食材に多く含まれています。
・にんにく
・とうがらし
・赤身のまぐろ
・ピスタチオ
また、葉酸が豊富に含まれるのは以下の食材です。
・レバー
・ほうれん草
・大豆
・緑黄色野菜(ニンジン・かぼちゃ・ピーマンなど)
・うなぎ
ほうれん草と豆腐の味噌汁や、野菜炒めをする際にはにんにくを使用するなど、ちょっとした工夫でメラノサイトを活性化させる栄養素が摂れそうですね。
その他の白髪に効果的な食品
この他にも、昔から白髪に良いとされている食品があります。
そのひとつが「黒ゴマ」です。
ゴマ油は、インドのアーユルヴェーダで活用されていることで有名ですよね。
また、漢方でも活力増強効果があるとされています。
日本では、江戸時代に書かれた「本朝食鑑」という医学書に“黒ゴマは腎に作用し”という記述があります。腎臓は血管や心臓の働きに深い関わりがある重要な臓器です。
このように、黒ゴマは世界的にも老化を防ぐ食品として、広く知られてきました。
黒ゴマは、体内の血液循環をよくしてくれるので、全身の若返りだけでなく黒髪も増やしてくれる効果が期待できますよ。
食事からとりづらい栄養はサプリメントで
食事を工夫すれば、チロシンや黒ゴマを摂れることは分かりました。ですが、一人暮らしで外食が多い、また、乳製品や大豆製品が苦手という人もいるでしょう。
そんな人にはサプリメントで摂取するのがおすすめです。
たとえば最近話題の「ブラックサプリEX」は、有名女性誌やテレビなどでも度々紹介されている、人気のサプリメント。医師が監修している点でも注目です。
「ブラックサプリEX」には、黒髪に良いとされる必須アミノ酸(L-リジン)・黒ゴマ・アルギン酸・ビオチン(レバーに含まれる)などの栄養素がバランス良く含まれています。
黒髪が増える効果が期待できるだけでなく、全身を若返らせてくれる栄養素を、効率よく摂ることができますよ。
白髪の原因はメラニン! チロシン含有食品で改善しよう
白髪になる原因や、そのメカニズムについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
白髪になる原因は、メラニンが作られなくなることにありました。
しかし、メラニンを作る元が残っていれば再び黒髪になる可能性もあります。
ぜひ、ご紹介したメラニンを作る食品を摂取してみてくださいね。食品で摂るのが難しい場合は、サプリメントもおすすめですよ。
参考書籍
『やさしくわかる! 毛髪医療最前線』(板見 智・監修/毛髪医療特別取材班・著/朝日新聞出版・刊)
『薄毛・白髪に黒髪が復活! 最強育毛術』(マキノ出版)